伝言
2026.08.12留守番電話に、知らない子どもの声が残っていた。
「かえりみち、こうじのところ、あるいちゃだめだよ」
いたずらだと思った。だがその日の帰り道、工事現場の足場が崩れた。私がいつも歩く側の歩道に、鉄パイプが散乱していた。
伝言は、週に一度ほど残されるようになった。
「あしたは、でんしゃ、一本おくらせてね」
「そのおさかな、たべないほうがいいよ」
従うたび、私は何かを免れているらしかった。発信元は毎回「非通知」。誰なのか確かめようもないまま、私はその声に守られて暮らした。
昨夜の伝言は、いつもより長かった。
「いままで、いうこときいてくれて、ありがとう。おかげで、まにあった」
間に合った? 何が、と思う間もなく、声は続けた。
「あしたのよる、むかえにいくね。こんどは、にげないでね」