三分怪談

3分で読めるホラー掌編

第七話

伝言

2026.08.12

留守番電話に、知らない子どもの声が残っていた。

「かえりみち、こうじのところ、あるいちゃだめだよ」

いたずらだと思った。だがその日の帰り道、工事現場の足場が崩れた。私がいつも歩く側の歩道に、鉄パイプが散乱していた。

伝言は、週に一度ほど残されるようになった。

「あしたは、でんしゃ、一本おくらせてね」

「そのおさかな、たべないほうがいいよ」

従うたび、私は何かを免れているらしかった。発信元は毎回「非通知」。誰なのか確かめようもないまま、私はその声に守られて暮らした。

昨夜の伝言は、いつもより長かった。

「いままで、いうこときいてくれて、ありがとう。おかげで、まにあった」

間に合った? 何が、と思う間もなく、声は続けた。

「あしたのよる、むかえにいくね。こんどは、にげないでね」

一覧に戻る