交換日記
2026.08.13小学三年の娘が、交換日記を始めた。
相手は「みっちゃん」というらしい。ほほえましく見守っていたが、あるとき娘のクラスに「みっちゃん」に該当する子がいないことに気づいた。隣のクラスにも、学年にもいない。
「みっちゃんはね、よるの学校の子だから、ひるまはいないの」
娘は当たり前のように言った。想像上の友達。その年頃にはよくあることだと、育児書にも書いてあった。
だが日記は、現実に返事が書かれて戻ってくる。
丸っこい、子どもらしい字。ただ、読むうちに気づいて、背中が冷えた。みっちゃんの字は、週を追うごとに、娘の字に似てきている。とめ、はね、癖のある「き」の書き方まで。まるで、なぞって練習しているように。
先週、私はこっそり日記の最新のページを開いた。
「みっちゃんは、もうじゅんびができました」
娘と見分けのつかない字で、そう書かれていた。
「あしたのあさから、わたしがかわりにとうこうするね。おかあさんは、ぜったいきづかないよ」
今朝、娘は「いってきます」と元気に出ていった。私は玄関で、その後ろ姿をずっと見ていた。癖のある、あの子の走り方だった。……たぶん。