三分怪談

3分で読めるホラー掌編

第十五話

交換日記

2026.08.13

小学三年の娘が、交換日記を始めた。

相手は「みっちゃん」というらしい。ほほえましく見守っていたが、あるとき娘のクラスに「みっちゃん」に該当する子がいないことに気づいた。隣のクラスにも、学年にもいない。

「みっちゃんはね、よるの学校の子だから、ひるまはいないの」

娘は当たり前のように言った。想像上の友達。その年頃にはよくあることだと、育児書にも書いてあった。

だが日記は、現実に返事が書かれて戻ってくる。

丸っこい、子どもらしい字。ただ、読むうちに気づいて、背中が冷えた。みっちゃんの字は、週を追うごとに、娘の字に似てきている。とめ、はね、癖のある「き」の書き方まで。まるで、なぞって練習しているように。

先週、私はこっそり日記の最新のページを開いた。

「みっちゃんは、もうじゅんびができました」

娘と見分けのつかない字で、そう書かれていた。

「あしたのあさから、わたしがかわりにとうこうするね。おかあさんは、ぜったいきづかないよ」

今朝、娘は「いってきます」と元気に出ていった。私は玄関で、その後ろ姿をずっと見ていた。癖のある、あの子の走り方だった。……たぶん。

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