三分怪談

3分で読めるホラー掌編

第十六話

動体検知

2026.08.14

両親が旅行に出るというので、実家に防犯カメラを付けてやった。

動くものを検知するとスマホに通知が来る仕組みだ。設置した居間のカメラは、初日から何度か通知を寄こした。カーテンの揺れ、差し込む西日。そんなものばかりで、私はすぐ通知を気にしなくなった。

三日目の午前二時、通知が来た。

【動体を検知しました:居間】

映像を開くと、暗い居間の隅、仏壇の前に、誰かが正座していた。

小柄な、着物の背中だった。微動だにしない。動体検知は「動いた」から通知したはずなのに、映像の中のそれは、置物のように静かだった。私は震える手で警察を呼び、自分も実家へ車を飛ばした。

家には、誰もいなかった。戸締まりは完璧で、仏間の畳に座布団がひとつ出ていただけだった。警察官は「気のせいでしょう」と帰っていった。

翌朝、もう一度アプリの通知履歴を見返して、気づいた。検知時刻は午前二時。だが履歴には、その三分後にもう一件、通知が残っていた。

【動体を検知しました:居間】

添付された静止画には、カメラを真下から見上げる白い顔が、画面いっぱいに写っていた。カメラは、天井に付けてある。

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