三分怪談

3分で読めるホラー掌編

第十九話

かくれんぼ

2026.08.14

子どもの頃、いとこたちと実家でかくれんぼをした。

私の必勝の隠れ場所は、仏間の押し入れだった。あの日も布団の隙間に潜り込んだ。暗がりに目が慣れてきたとき、すぐ横に、誰かの背中があることに気づいた。

子どもの背中だと思った。いとこの誰かが先に隠れていたのだと。だから私は声をひそめて「つめて」と言い、その背中に寄り添って、鬼が諦めるまでじっとしていた。背中は、ずっと冷たかった。

鬼だったいとこが襖を開けたとき、押し入れには私しかいなかった。

先週、法事で三十年ぶりに親戚が集まり、その話をした。笑い話のつもりだった。だが、いとこたちは顔を見合わせ、誰も笑わなかった。年長のいとこが、ぽつりと言った。

「おまえも見たのか。……あの家のかくれんぼ、隠れた人数のほうが、いつも一人多かったんだ。数えるたびに」

帰り際、仏間の前を通ると、うちの息子が押し入れに向かって話しかけていた。

「いーれーて」

襖の向こうから、小さく「いいよ」と聞こえた。

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