置き配
2026.08.28
通販の荷物はいつも置き配にしている。
配達完了メールには玄関先に置いた荷物の写真が添付されてくる。ある日の写真に妙なものが写っていた。
荷物と、うちのドア。その郵便受けの投函口が内側から指で押し開けられていた。
隙間から指が四本。第二関節まで出て投函口の縁を掴んでいる。まるで内側から配達員を覗こうとしたように。
撮影時刻、私は会社にいた。家には誰もいない。ワンルームの五階だ。
配達アプリで過去の写真を遡った。あった。三週間前の写真にもうっすらと。郵便受けの隙間の奥に白いものが写り込んでいる。ピントの外れたそれは並んだ歯のようにも見えた。
怖かったが確かめないのはもっと怖かった。私は次の通販で時間指定をして家の中から玄関を見張った。チャイムが鳴り置き配の気配がして遠ざかる足音。その直後だった。
私の背後で郵便受けの蓋が、かた、と鳴った。
玄関の郵便受けは私の目の前にある。鳴ったのはそこじゃない。部屋の奥、ベッドの下あたりから投函口の開く音がしたのだ。
配達完了メールが届いた。写真には荷物と、ドアと、郵便受け。そして今回は投函口の隙間のずっと奥に、部屋の中から玄関を見ている私の後ろ姿が小さく写っていた。——うちの郵便受けは、どこに繋がっているのだろう。